はじめに:40代、出会いを求めてTInderに登録
人生で一度くらい、やってみようかな——そう思ったのは、深夜2時にポテチをつまみながらYouTubeのTinder攻略動画を3本連続で見終えたあとのことだった。
「Tinder、始めようかな」
独り言は誰にも届かず、部屋に静かに溶けていった。
私は42歳。独身。趣味は読書とNetflix、たまにジム(月1〜2回)。年収は……まあ、そこそこ。見た目は「どこにでもいるおじさん」をほぼ完璧に体現した存在だ。
そんな私が、若い女性との出会いを求めてマッチングアプリの最前線、Tinder(ティンダー)に殴り込みをかけることにしたのである。
著者:アラフォー改めアラサーTinderおじ
参考:Tinderの年齢はサバ読みできる?ごまかすのがNGな理由とは
Tinder登録画面で芽生えた「ちょっとでも若く見せたいから年齢をごまかそう…」という悪魔のささやき
アプリをダウンロードし、いざ登録画面へ。名前、写真、自己紹介文……順調に進んでいったそのとき、問題の項目が現れた。
「年齢」
私の指は、しばし宙に浮いた。
42歳……。これをそのまま入力したら、若い女性はスワイプしてくれるのだろうか?
脳内でシミュレーションが始まる。
20代の女性がプロフィールを見る。「42歳……」。そっとレフトスワイプ(=いいえ)。
30代の女性がプロフィールを見る。「42歳か〜……」。また、レフトスワイプ。
詰んでる。もう詰んでる。登録する前から詰んでる。
そのとき、悪魔が囁いた。
「ちょっとだけ若く設定したらどうだ?」
私は悪魔に耳を傾けた。
「42歳を……40歳にするくらいなら、2歳しか違わないしセーフかな。いや、でも40代って時点でキツいか。いっそ35歳にしてしまえば、アラサーとして戦える……!」
こうして私は、35歳という輝かしい数字を入力し、「次へ」を押した。
7歳のサバ読み。もはやサバではなくマグロ級の盛り方である。
TInderの年齢確認という名の「現実の壁」
プロフィール設定も終わり、いよいよ本格的に使えるぞ——と思ったところで、Tinderから通知が届いた。
「年齢確認が必要です」
「ふむふむ、本人確認ね。まあよくあるやつだな」
お住まいの地域では、メッセージ機能などをご利用いただくために年齢確認が必要です。Tinderのご利用は18歳以上が条件となっており、日本在住のユーザーは現地の法律に基づき、条件を満たしていることを証明するための年齢確認が求められます。
引用 Tinder 年齢確認
私は軽い気持ちで画面を読み進めた。そこには衝撃の仕様が書かれていた。
提出した身分証の生年月日と、登録した年齢が一致しない場合、認証は完了できません。
私の手が止まった。
もう一度読んだ。
「提出した身分証の生年月日と、登録した年齢が一致しない場合——」
……詰んだ。
私の運転免許証には、誰がどう見ても1982年生まれの私の本当の年齢が刻まれている。42歳は42歳だ。どう逆立ちしても、身分証は35歳とは言ってくれない。
Tinderはバカではなかった。むしろ、私がバカだった。
年齢確認を提出しないと機能が制限される。提出すれば嘘がバレる(というかシステム的に弾かれる)。詰みである。完全なる詰みである。
Tinder再登録という名の敗北と復活
途方に暮れながらネットで調べると、同じ轍を踏んだ先人たちの嘆きが散見された。
「年齢入力ミスったらアカウント作り直すしかない」
「Tinderは登録年齢と身分証が一致しないと認証できない仕様」
「サバ読みはアカウント削除して再登録すれば直るよ(ただしめんどくさい)」
……なるほど。アカウントを削除して、最初からやり直す。それが唯一の解決策らしい。
私は粛々とアカウントを削除し、今度こそ正直に「42歳」と入力して再登録した。
登録画面で「42」と打ち込んだとき、なんとも言えない清々しさを感じた。これが素直に生きるということか。でも、少しだけ悲しかった。
ティンダーに再登録してみた結果
正直に42歳で登録した結果——。
マッチしないということはなかった。少ないけど、ちゃんといた。同世代の女性や、年上好きの若い女性など、世界は意外と広かった。
最初から正直に登録していれば、あの無駄な遠回りをせずに済んだのである。
今回の教訓
今回の壮大なる無駄遣い(時間・精神力ともに)から得られた教訓をまとめる。
【教訓①】Tinderは年齢をごまかせない 身分証との照合という堅牢なシステムの前に、私のセコい野望は秒で砕け散った。
【教訓②】サバを読むくらいなら最初から正直に どうせバレるなら、ハナから正直に登録すべきだった。7歳もサバを読もうとした自分の欲深さを反省している。
【教訓③】40代おじさんにも春は来る(かもしれない) 42歳でも、ちゃんと誠実にプロフィールを作れば、ゼロではない。大事なのは年齢より中身……と言いたいところだが、写真も大事だとは思う。
【教訓④】深夜にポテチを食べながら重大な決断をしない そもそもの話、判断力が低下した状態で「35歳」などと入力するから問題が起きる。
おわりに
人は、自分の年齢から逃げることはできない。
Tinderというシステムは、そのことを私に優しく、しかし確実に教えてくれた。
42歳は42歳だ。それ以上でも、それ以下でもない。
これからも、42歳という現実と向き合いながら、Tinderの荒野を歩いていこうと思う。
せめて写真だけは、5年前のものを使うくらいの抵抗はさせてほしい。
それくらいの「サバ」は、どうかお目こぼしを。